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2011/07/06
ジャガーブリッジ

ブリッジ交換について


ジャズマスター、ジャガー、ムスタングのブリッジ交換について、良くある質問の回答例です。
参考にして下さい。

Q:トレモロは使用できるのか? 加工方法は?
リペアファイル1の改造はブリッジを交換するだけで他の部分には手を加えません。
したがって、トレモロはそのまま使用可能です。
ただし、厳密に言うとジャズマスターのトレモロはブリッジが不安定な状態を想定して設計されておりますので、ブリッジが動かなくなる事でトレモロの効き方は変わります。
しかしながら、非固定ブリッジが原因で起る問題は現在の演奏スタイルを考えると致命的なものが多く、多少トレモロのフィーリングが変わってもそれを補って余るメリットが生まれます。
現在、当店が行っている方法は、オリジナルのブリッジの受けを引き抜き、残った穴を拡張してT.O.M.(ナッシュビルタイプ)ブリッジのスタッドを打ち込む方法です。
厳密に言うとオリジナルブリッジとT.O.M.ブリッジは極僅かにスタッドピッチが違います。
以前は、穴を一旦埋めて新しい穴を開けておりましたが、ほとんど同じ位置に穴を再度空ける事になり、工賃、納期共に大きく違ってきます。
スタッドピッチはコンマ数ミリの違いしかありませんので、穴を拡張する際に僅かにずらす事で問題を回避します。
この方法は加工が最小限で済むのが大きなメリットで、作業も基本的に一日あれば十分です。
なお、ブリッジはナッシュビルタイプをおすすめします。
オールドタイプのABRを取り付ける事も可能ですが、サドルを固定する針金状のパーツが共振する場合があります。
改造目的の一つに共振を無くすと言う事がありますので、ほとんどフリーメンテのナッシュビルタイプの方が理にかなっております。

Q:音に与える影響はどんな物か?
これまでに同タイプのギターの加工は100本以上行っております。
この改造を行ったお客さまからは「弦高や共振などの問題から開放されギターが扱いやすくなった」と言うご意見を多数いただいております。
かなりハードなジャンルでこの改造を行ったジャガーを使用している方からは「強いオーバードライブをかけても輪郭のはっきりとした芯の有る音になりサスティーンも十分体感できるほど長くなった」と機能的な面だけではなくサウンドの点でも好評をいただいております。

強アタック、ロングサスティーン、各弦の音の分離、芯のある音等の表現が適した音に変わりますが、オリジナル状態特有のガチャガチャした感じの音はなくなり、落ち着いたしっかりした音に変わりますので、もしこの手の音がお好みに合わないと判断された場合は見合わせてください。
一応、今のところ音が悪くなったという感想はいただいておりませんので大丈夫だとは思いますが、参考までに。^^;

Q:オクターブピッチが合わなくなるのではないか?
オクターブピッチに関しましてはT.O.M.ブリッジの通常の調整可変幅に収まりますのでまったく問題有りません。
そもそも、最初から付いているブリッジは前後に動く関係でオクターブピッチは正確ではなく、ブリッジが前方に傾いている時と後方に傾いている時では微妙にスケールが違ってくるのです。
ジャズマスターに代表されるタイプのギターはこのあたりがかなりいい加減(エレキギターは基本的にいい加減なんですが…)で、3サドルのテレキャスなどこの手のギターを使っている方にとってオクターブは大体合っているレベルが普通です。
T.O.M.に交換するとオクターブピッチを正確に合わせる事ができるようになりますので、今回心配されているのとはまったく逆の結果となります。
オリジナルのジャズマスターのオクターブピッチが正確ではないのです。
このいい加減さは持ち味でも有りますので、オクターブピッチが合う事を嫌う場合はこの改造はおすすめしません。

Q:弦高が高くなったりしないのか?
弦高が高くなるのではないかという心配は、おそらくブリッジのサイズを見ての印象ではないかと思います。
実際レスポールなどのボディ角の付いたギターのブリッジ位置はかなり高いのでそう思われたのでしょう。
フェンダー系のデタッチャブルギターは構造上、ネックの角度が一本一本微妙に違います。
ブリッジを交換してからの話になりますが、弦高が元よりどうしても高くなる場合も確かに有ります。
ジャガーやジャズマスターの場合は、ピックガードのスタッドを通す穴を広げてスタッド上面とブリッジプレートを面位置にする事で二ミリほど下がります。
見た目の違和感がなく、高めの弦高にも対応できますので、ジャガーやジャズマスターは基本的にこの方法を使用しております。
ちなみに、ネックの角度を変更する方法でもブリッジ位置は高くても弦高が下がるのですが、弦のテンションが変わるなど副作用もあるため、お客さまの合意が無ければ使用しておりません。
ムスタングの場合と一部のジャガーやジャズマスターのみ、この方法では弦高を下げきれない場合が有り、その場合はブリッジ下を切削加工してマウント位置を下げる方法を取ります。
個体差があるため、作業を行ってみないとわからない部分ですが、ムスタングのほとんど、ジャガーやジャズマスターの1割から2割程度がブリッジ下切削加工が必要になります。

Q:交換後のメンテナンスは面倒ではないのか?
メンテナンス性に関しては、改造後は改造前と比較にならないほど楽になります。
オリジナル状態は弦高やブリッジの高さ調整ネジ、オクターブピッチ調整ネジが不安定な状態で、オクターブピッチを無視しても14ヶ所ものネジをチェックしなくてはいけません。
ネジはゆるみ出すとクセになりすぐにユルユルと動きますので大変です。
T.O.M.はオクターブ調整ネジがしまっていれば、他に動く所が有りませんのでほとんどノーメンテといっても差し支えありません。

質問への回答では有りませんが、一般的にあまり知られていない点。
この改造を行う方のほとんどは、オリジナルブリッジの調整の煩わしさを解消する事が目的です。
最後になって申し分けないのですが、一点だけ、もしかしたら問題になるかもしれないことをあげておきます。
オリジナルのブリッジは弦高調整が各弦に対して行えますが、T.O.M.はブリッジ全体の上げ下げしかできません。
元々比較的フラットな指板アールを持つギター用に開発されておりますので、フェンダーのビンテージ系ギターの指板アールにはそのままだと若干一弦の弦高が高くなってしまいます。
多くのお客さまは最初の状態の一弦の弦高が低すぎる(チョーキングが1音程度で音詰まりする)ので、多少高くなっても演奏上はむしろ指板アールのきついギターには正しい弦高になるのですが、中にはハイポジションのフレットをフラットに擦り合わせたり、フレットを打ち直して指板をフラットにする方もおりますので、そのままでは具合が悪い場合があります。
当店ではこのようなケースでもお客さまの希望に合わせるために、一弦の溝を深くしサドル上面を切削加工する事で一弦の弦高を下げる事も可能です。

ソニックシステム音響事業部スタジオ事業部
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